Gラボ「アンデスの世界・神殿のヒミツ」

グローバルラボ

中学2年生のグローバルラボでは、国立民族博物館館長の関雄二先生とまなラボの皆さんをお招きし、ワークショップ「アンデスの世界・神殿のヒミツ」を開催しました。講師の関先生は、45年以上にわたり南米ペルー・アンデス山脈で古代遺跡の発掘調査を続けてこられた考古学者です。今回は、関先生がアンデス山脈に暮らす長老に扮し、まなラボの皆さんとともに演劇形式でアンデス文明の世界を紹介してくださいました。

生徒たちは「地球探検隊」としてアンデス山脈の奥地にある村を訪れる設定で、ワークショップに参加しました。長老や村人たちから、アンデスの宗教観、食文化、住まい、自然との関わりについて説明を受けながら、物語の世界に引き込まれていきました。生徒からは、「最初はアンデスがどこにあるのかも分からなかったけれど、話を聞くうちに親近感を覚えた」「色鮮やかな衣装や高い場所での暮らしが、日本とはまったく違っていて驚いた」といった声が聞かれました。

また、アンデスの人々が自然や動物を大切にしてきたことにも、多くの生徒が強い印象を受けていました。「神殿に動物が描かれていることから、神様だけでなく自然そのものを敬っていることが分かった」「自然を壊してしまうこともある今の時代だからこそ、アンデスの人々の考え方はとても大切だと思った」という感想もありました。

ワークショップの後半では、アンデスの人々が古くから繰り返してきた「神殿を作り、壊す」という文化について学びました。生徒たちは実際に神殿の模型を紙コップで作り、それを壊す体験を通して、その意味について考えました。「せっかく作った神殿を壊すのはもったいないと思った」「でも、その伝統を受け継ぐことで、より神聖なものになっているのだと感じた」「建築方法や文化を忘れないために、あえて壊して作り直しているのではないか」といった意見が出され、活発な話し合いが行われました。

さらに、神殿が王や支配者の命令ではなく、人々自身の意思によって建てられてきたことを知り、「あんなに大きなものを自分たちの手で作り、また壊すのは本当に大変だと思った」「それだけ神殿が民族にとって大切な存在だったのだと分かった」という声もありました。

ワークショップを通して、生徒たちはアンデス文明の独自性だけでなく、日本文化との共通点にも気づきました。「蛇などの動物が信仰の対象になっているところが、日本の狐や八咫烏(やたがらす)と似ていると思った」「地球の反対側に住んでいる人々だけれど、自然や神への感謝の気持ちは日本と共通していると感じた」といった感想からは、異文化理解の深まりがうかがえます。

今回のワークショップは、あまり馴染みのなかったアンデス文化に触れながら、自分たちの文化や価値観を見つめ直す貴重な学びの時間となりました。「自分たちの常識(モノサシ)が、必ずしも過去の人々の常識ではない」という、異文化理解の第一歩を踏み出したことを意味します。

「壊すこと」が喪失ではなく、次のエネルギーを生むための「儀式」や「再生」であった可能性に気づくことで、異なる価値観を尊重する姿勢。現代社会で重視される「結果(成果物)」だけでなく、「プロセス(過程や労働)」そのものに社会的な意味があったという、高度な考察。目の前の現象(紙コップの破壊)から「なぜ?」を立ち上げ、自分たちなりの「解」を導き出そうとする探究心こそ、これからの学びに最も必要な力です。「アンデスの世界・神殿のヒミツ」を通じて、最高レベルのリベラルアーツの実践が行えました。